内的自己対話―川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。

「フツー」の街の普段着の「顔」を路上観察する

 東京の一部しか知らないように、東京近郊の中小都市のことも、せいぜいその名を知っているか、車や電車で通り過ぎたことがあるくらいで、その都市のほんとうの「顔」についてはほとんど何も知らない。
 観光とは無縁な中小都市ともなると、そこに住んでいる親類縁者友人知人を訪ねる機会を除けば、わざわざ訪ねてみようとも普通思わないだろう。
 そういう「フツー」の街は、観光目的で訪れる人などに媚びを売る必要がないから、それだけその街の「素の顔」が道行く人たちの姿にそのまま現れている。いわば、化粧もせず、着飾りもせず、普段着のまま、皆歩いている。
 その国を代表する大都市や海外にもその名の知れた観光地を訪れるのが「ガイコクジン」観光客の常であろうが、コロナ禍が沈静化して彼らが戻ってきたそんな場所に行きたいとは、特に年末年始のこの時期、まったく思わない。
 そこに住まう人たちと表向き変わるところなく振る舞いながら、実はただの余所者としてその地に数日間滞在し、街の風景を路上観察するのは、なかなかに面白く、いろいろと考えさせてくれる。