内的自己対話―川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。

2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

すべての人にとって同じ内なる精神的宇宙 ― ルイ・ラヴェルからジンメルへ

今日(30日)ずっとGeorg Simmel の Philosophie de la modernité (Payot, 2004) を読んでいた。この本は、9月1日の記事でジンメルのことを紹介した時に引用した。同書は1989年に二分冊で出版された旧版を一巻にまとめたものなので、仏訳者である Jean-Louis…

思索の炎を点火する ― 話し言葉の時間性について

午前中、『下村寅太郎著作集』第12巻に収録されている田辺元についての思い出を語っているエッセイをすべて読んだ。これは田辺に限ったことではないけれど、傑出した人物を師として、その人に親しく接していると、その著作を読んだだけでは得られない何かが…

時間の秩序から解放された人間 ― 九鬼周造の時間論についての覚書

九鬼周造が1928年にフランスのポンティニーでフランス語でした二つの講演のうち、後者の原題は « L’expression de l’infini dans l’art japonais » であるが、岩波の『九鬼周造全集』第一巻には仏語原文とともに坂本賢三による日本語訳も収録されており、そ…

冬時間への切り替え ― 思索の季節の到来

27日日曜日午前3時に中央ヨーロッパ時間は冬時間に切り替わった。時計の針を1時間戻して午前2時にする。コンピューターやスマートフォンは自動的に切り替わるから、何の操作もいらないわけであるが、腕時計、置時計、ステレオの内蔵時計などは手動で切り替え…

新しい社会存在の哲学の構想のために(補遺)

昨日までで「新しい社会存在の哲学の構想のために」の連載はひとまず終えた。しかし、その結論部には書けなかったが、その背景にある自分の問題意識を短くフランス語で記した覚書のようなものがある。これもまたこれから考えていくべき問題の一つとして、こ…

新しい社会存在の哲学の構想のために(その11)

今さっき、ベルクソン国際シンポジウム責任者に発表原稿を送信した。ベルクソンの『二源泉』のあちこちを読み直しながら、同書のでの〈種〉概念について一日あれこれ考えたが、すでに連載第10回目に掲載した発表原稿最後の部分から、ベルクソンにおける〈種…

明日から大学は休暇に入ります

今日(木曜日)、本務校での講義は「日本近代史」一コマだけ。自由民権運動の続き。ここは特に時間をかけて話しているところ。今日のテーマは、この運動の思想的リーダーたち。明六社の果たした役割(特に福沢諭吉と西周)と中江兆民の活躍について主に話す…

新しい社会存在の哲学の構想のために(その10)

今日(水曜日)は、午前中の一年生の演習は二コマとも中間テストだったので、試験監督をするだけでよく、その分楽ではあった。しかし、昨晩、今日の午後のイナルコの講義の準備が零時過ぎまでかかったので、睡眠不足でつらかった。修士の授業が終わってすぐ…

新しい社会存在の哲学の構想のために(その9)

昨日は言及しなかったが、プールには行った。今日も行った。午後2時半から3時半まで。小中高公立学校がヴァカンスの間、パリ市営プールは毎日営業する。プールにもよるが月曜日はだいたい午後1時から6時まで。火曜日から金曜日までは午前7時から午後6時まで…

フランスという国家は、もうダメかもしれない

今日、「新しい社会存在の哲学の構想のために」の連載は、お休みする。理由は二つ。一つは、まったく個人的なつまらない事情で、このブログの記事として話題にするにさえ値しない。もう一つは、ここ数日来フランスで起こっていることが私に引き起こした暗澹…

新しい社会存在の哲学の構想のために(その8)

今朝(20日日曜日)は8時からプール。今日も2000m。内訳はクロール600,平泳ぎ100,背泳ぎ1300。この1年ほどは背泳ぎを中心にして泳いでいるが、その理由は、腕を前方にまっすぐ振ることによって背筋をよく伸ばし、胸筋を開くように上体を動かすことで、大…

新しい社会存在の哲学の構想のために(その7)

土曜日朝プール。2000メートル。帰り道にマルシェで野菜と果物を買う。午前中は、自分の発表原稿の書き上がっている部分の読み直し。細部にまだ必要な手直しを除けばこれでよし。後は書きかけの結論部に『道徳と宗教の二源泉』におけるベルクソンの〈種〉の…

新しい社会存在の哲学の構想のために(その6)

今朝(18日)は、日曜日以来5日ぶりのプール。2300メートル泳ぐ。午前中は依頼された仏訳のチェック。午後は小林論文の仏訳の仕上げ。2時間ほどで済んだ。すぐにシンポジウム主催者に送信する。これでシンポジウム前の仏訳の仕事はすべて終了。これで残りの…

新しい社会存在の哲学の構想のために(その5)

今日(木曜日)の最後の授業を始めて10分ほどたったとき、校舎の火災警報が鳴り出した。こういうときは直ちに建物の外に全員出なくてはいけないことに規則上なっている。しかし、ほとんどの場合誤作動で、実際に火災に遭ったことは私の経験では7年間一度も…

新しい社会存在の哲学の構想のために(その4)

今日(16日水曜日)の本務校での講義と演習は、正直に言って、ちょっと流し気味であった。学部1年の演習では、来週小テストを授業の枠内で行うので、その説明に時間を取り、その分授業の中身は薄くなってしまった。修士の演習も今日は3つ口頭発表させること…

新しい社会存在の哲学の構想のために(その3)

今朝(15日)プールの門前には、私が着いた7時5分前にはすでに7,8人待っていたが、ほどなく職員が監視員のストライキで今日はプール閉鎖と伝えに来る。納得が行かずに職員に説明を求めている人もいたが、経験からこういうときは無理に決まっているとわか…

新しい社会存在の哲学の構想のために(その2)

9月第2週以来いつもそうであるように、月曜日は丸一日、水・木の本務校での講義の準備。今日は比較的順調に捗り、午後5時過ぎにはあらかた片付き、今一息入れているところ。だが精神状態は昨日来決して良くない。簡単には解決のつかない問題と心配事とで心の…

新しい社会存在の哲学の構想のために(その1)

13日日曜日、朝プールに行った後は、一日ベルクソン国際シンポジウムの原稿作成に専念した。一応後は結論を書き加えるだけでほぼ完成というところまで来たが、その結論のためには田辺の「社会存在の論理—哲学的社会学試論」の中のベルクソンに言及している箇…

あなたが悲しんでいる時、世界があなたにおいて悲しんでいる

ストラスブール大で2003年に哲学の博士号を取得した後、毎年いくつかのシンポジウム、研究集会等に参加してきたが、その時々で発表のテーマはそれぞれ違っていても、結局のところ、そこで扱われた諸問題はすべて博論で到達した根本概念である「受容可能性」…

生成する生命の哲学(最終回)

今朝(11日)は7時から8時までいつものプールで泳ぐ。まあまあ快適だった。途中でどれだけ泳いだかあやふやになってしまったが、身体感覚としてはいつもより多く泳いだと感じられるので正味45分で2200メートル位だろうか。最初の500はクロールで体を温め、そ…

生成する生命の哲学(その11)

昨晩(水曜日)はブログの記事を投稿した後にまだ仕事が残っていた。来年度の文明講座の講義要項草案を前日までに学科長に送ることになっていたのだが、それはどうしても無理だったので、1日待ってもらった。その草稿を書くのに零時過ぎまでかかってしまった…

生成する生命の哲学(その10)

今日(9日)も朝5時半に起床してから、今この記事を書いている午後9時過ぎまで、それこそ息つく暇もない1日だった。本務校での講義はすべてうまくいったが、とにかく計5時間、一部を除いてすべてフランス語で、しかもかなり大きな声でしゃべり通しなので、い…

生成する生命の哲学(その9)

昨日完全には明日の学部1年生の講義の準備を終えることができなかった。午前零時まで頑張ったが、それを過ぎると集中力も落ちるし、翌朝の水泳にも差し支えるから(何が大事なのやら)、余程のことがないと零時以降は原則として仕事をしないことにしている…

生成する生命の哲学(その8)

月曜日は丸1日、本務校での必修講義の準備。木曜日の学部2年生の「日本近代史」の準備を先にやってしまおうと朝から取り掛かったが、自由民権運動の資料を読んでいたら面白くなってしまって、特に「民撰議院設立建白書」というのは原文で読むと実に堂々たる…

生成する生命の哲学(その7)

日曜日、プールは8時から。明日月曜日はプールに行けないので、普段より少し長めに2200メートル泳ぐ。帰り道にパン屋と日曜日午前中だけ開いている近所の小さなスーパーで簡単な買い物を済ませる。午前中に小林論文仏訳全体の見直し。特に大きな誤訳はないと…

生成する生命の哲学(その6)

朝プール。最初の600メートルだけ快適に泳げた。後は混んできて思うように泳げなかったが、なんとか2000メートルは泳いだ。帰り道にポール・ロワイヤル通りのマルシェで野菜と果物をいつもの店で買う。置いてあれば必ず無花果を買うのだが、そろそろその季節…

生成する生命の哲学(その5)

今朝7時5分ほど前にプールに着いたら、職員が出てきて、「昨晩泥棒に入られ内部を荒らされたことが今朝になってわかったので、今警察が来るのを待っている、だからプールは開場できない」とのこと。実はこれは何年か前にも有ったこと。とにかく毎日何かしら…

生成する生命の哲学(その4)

私は講義中、学生たちの私語は原則として一切注意しない。それは諦めているからではない。彼らが聴かないのは私の話が面白くないからである。つまり私の側に彼らの私語の原因はあると基本的に考えている。そして、彼らの潜在的な知的好奇心を呼び覚ますこと…

生成する生命の哲学(その3)

今日水曜日(2日)は1週間で一番ハードな1日。5時半起床。6時半アパートを出る。7時45分研究室着。8時から、修士課程1年の書類審査で不合格になった学生と面談。理由と今年1年になすべきことについて相談。8時45分から12時15分までは間に15分づつの休憩を挟…

生成する生命の哲学(その2)

今朝(1日)は1週間ぶりにプールに行った。混んでいたが、同じコースの泳者たちがだいたい皆かなりハイペースだったので、比較的泳ぎやすかった。ただ、泳いでいるの溺れかけているのかわからないようなフォームで背泳ぎを続ける青年だけが次から次へと抜か…