言葉の散歩道
サルスベリの白い花(谷中霊園) 『失われた時を求めて』第二篇「花咲く乙女たちのかげに」第二部にも一箇所 clapotement という言葉が使われている箇所がある。 Et, un mois où elle serait restée seule sans ses parents dans son château romanesque, pe…
定山渓(北海道) 保苅瑞穂の『プルースト 読書の喜び―私の好きな場面』のなかで「ひたひたと」という副詞句が訳語として使われている箇所が二つある。その前者では、「ひたひたと」を使った理由が説明されている。この語が登場する訳文とそれに対応する原文…
護国寺(東京都文京区大塚)観音堂(本堂) 日本語の現代小説にはオノマトペ(擬音語・擬態語・擬情語すべてを指す)が少なからず使われていて、その頻用ぶりはいっさいオノマトペが使われていない作品などいったいあるのだろうかとも思わせるくらいで、ふだ…
冬はつとめて 学習用古語辞典は、利用者として主に想定されている中高生にわかりやすい解説が基本方針になっており、そのためにそれぞれに工夫が凝らされていて、それらの解説をただ読み比べるだけでも楽しいし、説明間の差異を比較することで学ぶことも多い…
冬日影 どうしようもなく悲しく、心が沈むとき、辞書を読む。引く、ではない。調べることが目的ではないから。古語辞典や仏語辞典を手に取ることが多い。 ふと思い浮かんだ言葉の語釈をゆっくりと繰り返し読む。用例を声に出して読む。用例の原典を紐解くこ…
モンテーニュの城館は、ボルドー市の東およそ60キロ、ドルドーニュ川の岸辺から北へ3キロほどの距離にあります。その城館の一角に立つ円塔の三階がモンテーニュの書斎です。その書斎についてモンテーニュは『エセー』の中にかなり詳細な記述を残しています。…
「居場所」という言葉が気になりだしたのは、修士一年の演習で村上靖彦氏の『ケアーとは何か』(中公新書、2021年)を読んだことがきっかけだったことはこのブログでも話題にし、以後、村上氏が言う意味での「居場所」のことを何回か記事にしてきました(今…
フランス語で文章を書くとき、同一段落内あるいは近接した箇所で同じ名詞・動詞・形容詞・副詞をできるだけ繰り返さなにようにするという文章作法の原則がある。この原則は小学生の頃から叩き込まれるから、学生たちもこれを守ろうとする。この原則に忠実で…
人間の壊れやすさ(fragilité)と傷つきやすさ(vulnérabilité)という当面の主題から少し離れて、fragile と vulnérable という二つの形容詞の用例を、この主題とどこかで繋がっている幾冊かの電子書籍のなかから採集しておきたい。 ただし、その著者に固有…
続けていて虚しくなることはないのかと問われれば、「それはあります」と答えざるを得ない。このブログのことである。こんなこと続けて何になるのだろうか、と。 一つ一つの言葉を大切にしながら書きたいと思って毎日書いている。でも、なんといい加減なのだ…
後期担当している近現代文学の講義で基礎テキストにしている『新日本文学史』(文英堂)の購入を希望する学生たちのために発注をかけたとき、自分用に二冊の学習古語辞典を併せて購入した。『ベネッセ全訳古語辞典 改訂版』(2007年)と『旺文社全訳古語辞典…
レミ・ブラッグ Rémi Brague という古代・中世哲学の大家がフランスにいる。パリ第1大学教授。単に古代・中世の専門家として傑出しているだけでなく、現代社会における哲学的問題にも常に注意を払っており、メディアでも発言する。自著の中で認めているが、…